「置いてかないで、ママ!」
必死に空へと手を伸ばし、大地を走る小さな背中がそこにはあった。
徐々に絶望の色に染まる子供の顔とは裏腹に、蒼色の空は七彩の光を放つ。
光は辺りを白く照すと、合間に黒い影を落とし、やがてもとの蒼色へと戻っていった。
子供の涙と孤独は風に乗り、世界の隅々まで渡っていく…
女神族。
神々が作りだした誇り高き美しい種族。
女神族は同じく神々が作りだしたタイタン族との戦争で敗北し、
母星「グレイス」から青藍の惑星「サファイア」の地へと降臨した。
戦乱の渦にある「人間族」に協力し、この星に平和をもたらした彼女たちは、
その後幾度と強大な力を示し、星の守護者と謳われていた。
しかし、その栄光は1人の女神によって打ち破られることとなる。
光明の女神『ダリア』。
彼女は人間族と恋に落ち、子を授かった。
しかし、後にして相手の男は命を落とし、魂は奈落の底へと封印される。
それは正しく「女神族の呪い」。
愛する者を奪われた怒りと深い悲しみから、彼女は光明の名を捨て、
女神族との悲壮な戦いを繰り広げ、闇に身を投じるのであった。
その最期まで彼女の耳には、愛する我が子の声が届いていた。
時の歯車は止まることを知らない。
かつての無力な子供は今や大人になり、そして運命の女神の前に立っている。
この出会いは、大陸の歴史、そして未来を大きく変えていく…